教室の歴史
history歴史
現在の診療・研究活動の概要と目標
教室は島園順次郎教授(1913年~)を初代として約100年の歴史を有する。従来、消化器病学、循環器病学、糖尿病学、腎臓病学、感染症学など幅広い
分野で研究・診療を行ってきたが、臓器別診療再編成により現在では消化器病学・肝臓病学を中心に診療と研究を行っている。
肝臓病学では、B型及びC型ウイルス性肝炎、自己免疫性肝疾患及び肝細胞癌の診療と研究が中心である。研究面ではインターフェロン抵抗性肝炎の新規治療法の開発、自己免疫性肝炎や原発性胆汁性肝硬変の機序の解明と新たな治療法の開発、肝細胞癌の分子生物学的診断・血管増殖機構及びその阻止方法の開発等を中心に、基礎及び臨床の両側面から研究を行っている。
胆膵領域では予後不良な膵臓癌・胆道癌を中心に診療及び研究を行っている。内視鏡を利用したステント挿入により閉塞性黄疸を回避し、有効な抗癌剤治療を可能としている。また研究面では膵臓癌早期発見のための遺伝子(SNP)解析や疾患特異的な糖鎖解析などを推進している。
上部消化管の領域では、食道癌、胃癌の内視鏡的治療(ESD)を積極的に行っており、技術的に高度な医療を行っている。研究面ではH.Pyloriと胃癌、逆流性食道炎などについて推進している。下部消化管領域においても、大腸癌に対する内視鏡的治療を積極的に施行し、炎症性腸疾患や悪性腫瘍のエピジェネティクな変化などの幅広い分野での研究を行っている。
大学病院及び研究科の使命は難治性疾患の克服であり、診療面では最先端のあらゆる技術を駆使して診療を行っている。また、現時点で解決ができない問題について臨床への応用を目指した研究を推進している。
教室のあゆみ
1913年-1916年 | 初代 島園順次郎 教授 |
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1916年-1921年 | 2代 筧繁 教授 |
1921年-1921年 | 3代 広瀬耕一 教授 |
1921年-1925年 | 4代 金子簾次郎 教授 |
1925年-1945年 | 5代 稲田進 教授 |
1945年-1956年 | 6代 山岡憲二 教授 |
岡山大学医学部第一内科学教室は、1870年の岡山医科大学創設から始まる歴史を有しているが、第6代の山岡憲二教授は感染症学と消化器病、特に肝臓病学を中心とする診療と研究の体制の礎を築いた。
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19571957年-1976年
7代教授 小坂淳夫
岡山県某地区における急性肝炎の大流行を受け、本格的なウイルス肝炎の研究を開始。特に急性肝炎の慢性化の問題につき、疫学、臨床診断・治療、病理形態学、生化学、免疫学と多方面からの検討が行った。肝疾患の腹腔鏡検査は全国に先駆け開始され、病理診断学でも大きな成果を挙げた時代である。
また、循環器病学、消化管、胆、膵臓病学、糖尿病学、腎臓病学、感染症学と多くの内科系分野の診療と研究もなされた。 -
19761976年-1984年
8代教授 長島秀夫
当初はB型肝炎ウイルスの発見を契機に、肝臓病学で免疫学的手法や電子顕微鏡を用いた研究が隆盛となり、臨床的にもSteroid long-term therapyなど独自の治療法の開発をした。
また、肝細胞癌の生化学的診断や画像診断、さらには肝性脳症を含む肝不全の研究でも多くの成果を得た。この時期から、診療・研究分野が消化器病学、循環器病学、感染症学、糖尿病学となった。 -
19871987年-2002年
9代教授 辻孝夫
『病める人の心を癒す』を座右の銘とし、研究テーマは臨床に還元できることを念頭にして、教室の舵取りを行い、また、医師過剰時代にも対処するため、教室員誰もが臨床手腕も十分身につけられるようバランスのとれた内科医の養成に尽力した。一方、消化器病・肝臓病学・循環器病学・糖尿病学・感染症学の分野において、免疫学的・分子生物学的手法を用いて精力的に研究を押し進め、多くの業績を挙げるとともに日本内科学会中国支部代表、日本肝臓学会理事などの要職を務めた。
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20022002年-2006年
10代教授 白鳥康史
慢性肝疾患、肝臓癌をはじめとする消化器疾患の研究に長年携わり、平成14年4月に東京大学消化器内科から岡山大学に着任した。消化器の日本一を目指して、臨床研究や分子生物学的手法を用いた研究を行い多くの成果を得た。 モットーは「真実を極め、医療の頂点を目指す」。
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20072007年-2014年
11代教授 山本和秀
岡山済生会総合病院副院長から教授に就任。
慢性肝疾患、特に原発性胆汁性肝硬変の免疫動態解析より発症機序を明らかにすることをテーマに腹腔鏡検査による肝疾患診断も最大限活用して診療及び研究を推進した。
岡山大学病院光学医療診療部教授枠をはじめ内視鏡診療部門の拡充にも尽力した。 -
20152015年-2022年
12代教授 岡田裕之
「消化器病のエビデンスを岡山から世界に発信する」をスローガンにOkayama Gut Study Groupを立ち上げるなど臨床研究、基礎研究を幅広く主導した。
また日本消化器内視鏡学会中国支部長、本部監事などの要職を歴任し、消化器病学、特に消化器内視鏡学の発展に尽力された。